河辺法律事務所
トップページ
事務所紹介
弁護士紹介
取扱業務
法律相談
弁護士費用

お知らせ

家族信託⑤  信託できる財産

信託を組むにあたっても、どんな財産でも信託することができるというわけではありません。信託することができる財産には一定の要件があります。その要件は、以下の3つの大きな要件があります。以下の3つが要件です。

 

① 金銭への換価可能性
② 財産が積極財産(プラスの財産)であること
③ 財産を処分・移転できること

 

1 ①金銭への換価可能性
信託しようとするものが、お金に換算できるものでなければなりません。典型例としては、
金銭、不動産、株、車、売掛金などがこれにあたります。一般的に、見積もりをとったりでき
るものは、換算できるものになります。
反対に、人格権や身分権などは、金銭への換価可能性がないため、信託財産とすることはで
きません。

 

2 ②財産が積極財産(プラスの財産)であること
積極財産とは、プラスの財産を指し、借金などの負債は含みません。
もっとも、負債も受託者に移して一緒に管理してもらいたいということも十分に有り得るところだと思います。
そのため、負債については、債権者の承諾を得て、受託者が債務を引き受け、かつ、信託行為において信託財産を当該債務の責任財産とすると定めることによって、受託者に移転させることが可能です。

 

3 ③財産を処分・移転できること
信託を行うためには、その財産を移すことができることが必要です。不動産や動産などを、受託者に権利(この場合は所有権)を移転して管理を任せるため、権利を移転できないことには信託を組むことができません。
したがって、法律上譲渡が禁止されている債権などは、移転させることができないので、信託財産にはできません。年金受給権などがこれにあたります。
特に、預貯金について、委託者の名義のまま、それを受託者に移すということはできません。預貯金を信託財産とする場合には、いったん預貯金を引き出して、新たに受託者名義の預貯金に移すなどして対応するしかありません。なお、この場合、受託者の財産と混ざってしまわないよう、分別管理しておくべきです。事前に、金融機関との間で、信託口口座が開設できるかということを相談しておくことが必要となります。

2022.12.23